広島大学キャンパスネットワーク HINET での 電光掲示板システムの開発
広島大学キャンパスネットワーク HINET での
電光掲示板システムの開発
角川裕次*, 西村浩二**, 相原玲二**
* 広島大学工学部第二類
** 広島大学総合情報処理センター
電気・情報関係学会中国支部第45回連合大会, pp.385 (1994年10月)
1. はじめに
広島大学では, 全学規模でのキャンパスネットワーク HiNET が稼働を開始し,
ネットワーク上での様々な情報サービスの実現/実験が行なわれている.
これらの実験的情報サービスの1つとして, 電光掲示板に似た形式で各種ニュースを
計算機の画面上で表示し, 一般利用者にニュースを提供するシステムを
開発したので報告する.
2. 本システムの概要
本システムは, 中国新聞の記事の抜粋を(株)中国データサービス
より提供を受け, それを学内に向けて公開している.
現時点では, 以下の 4 通りの方法で利用者への提供がなされている.
- 学内数箇所に設置された \HINET 情報端末での記事表示.
- 一般の Unix ワークステーションでの記事表示.
- WWW (World Wide Web) ならびに Netnews での参照.
図1に, 一般ワークステーションで
電光掲示板ソフトウエアを実行した時の様子を示す.
(画面の上のウインドウが横スクロールし, 記事の表示がなされる.)
図1. 電光掲示板ソフトウエアの実行例
3. 本システムの実現
本システムは, 以下の部分より構成されている.
(図2に概略図を示す.)
- 記事取得部
- (株)中国データサービスより, 電話回線を通じて記事を受け取る.
記事は Netnews の記事の形にされ, Netnews に投稿される.
- 記事配送部
- Netnews の機能を用いて, 記事が学内数箇所の Netnews サーバに配送される.
- 記事サーバ
- ネットワークを通じて記事要求を発したクライアントに対し,
電光掲示板の番組を提供する. このサーバは, 番組構成台本と Netnews
の記事形式の記事ファイルを元に, NBP (Newsboard Protocol)
と呼ばれるデータ列をクライアントに送る.
番組構成台本は NBL (Newsboard Language) と呼ばれる言語で記述され,
表示書体, 文字の反転, ブリンクなどの指定ができる.
NBP データは, NBL コンパイラによって生成される.
- 表示クライアント
- NBP を解釈し, 利用者に対して表示を行なう. 現在 2
種類の表示クライアントが開発されている.
- X-Window で動作するクライアントプログラム Xnewsboard ---
表示にアウトラインフォントを用いて, 複数の書体で任意の大きさでの
表示が可能である.
- 文字端末用クライアントプログラム ---
電話回線からの login の際でも, 文字端末でニュースが読むことができる.
- WWW/Netnews サーバ
- 記事を WWW のデータ書式である HTML に自動変換し, Mosaic 等の WWW
クライアントからの参照も可能としている. また, ニュース記事は
Netnews の形式でも保持され, GNUS や mnews
などのニュースリーダでも参照が可能である.
図2. HiNET での電光掲示板サービス
4. おわりに
現時点では, X-Window の稼働するワークステーション,
文字端末, ならびに WWW クライアント, Netnews
リーダーでニュースを読むことができる.
今後は, MS-Window, Macintosh 等でもニュース表示ができるよう,
クライアントの種類の拡大を図る予定である.
また, クライアントの数が増えるとその数だけ同一の記事データがネットワークに流れることになる.
これを解決するために, マルチキャストによる記事の配布も検討する予定である.
註: 本サービスは広島大学内に限定して, 実験的に公開されている.